妊活が1年以上うまくいかない場合は……
「妊娠のプロセス」を読まれた方は、妊娠が成立するまでには本当に様々な過程を経ていることがおわかりいただけたかと思います。
不妊症の定義に当てはまる方、すなわち「避妊をせずに夫婦生活(性交)を持っていながら、1年間、赤ちゃんができていない状態」にある方は、これらの過程のどこかで問題が起こっている可能性が高いので、ぜひ早めに不妊治療に力を入れている病院で原因を探るための不妊の検査を受けてみてください。
不妊原因によっては、自然妊娠が不可能なことも
妊娠の妨げになる原因は、大きく分けて五つ。男性不妊も、不妊症に悩むご夫婦の3割~4割に見つかります。
<男性>男性不妊……乏精子症、精子無力症、無精子症など
<女性>排卵の問題……多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、早発閉経(POF)など
卵管の問題……卵管閉塞、卵管留水腫、ピックアップ障害など
着床の問題……黄体機能不全、子宮腺筋症、子宮内膜ポリープなど
そのほか……免疫性不妊(抗精子抗体)、子宮内膜症、原因不明不妊など
不妊の原因は、自覚症状がないものがほとんどで、いくら体質改善のための健康的な生活を心がけても、どれほど時間を費やしても自然妊娠が難しいものもあります。たとえば、両側の卵管が閉鎖していて卵子と精子が出会えないケース、重度の男性不妊で精液中に精子がほとんどいない(or精子の動きが非常に悪い)ケースなども、その一例です。
さらには、受精障害のように体外受精や顕微授精を受けてみて、はじめて見つかる不妊原因もあれば、ピックアップ障害のように最後まで調べる手段がない不妊原因もあるということも、ぜひ覚えておいていただきたいと思います。
卵子の質が保たれているうちに妊娠を目指す
奥さまのご年齢が35歳以上の場合には、現代の医療ではフォローする術のない「加齢による卵子の質の低下」という不妊原因を新たに抱えることになる前に、不妊歴が1年になるのを待たずに検査や治療をはじめるという考え方もあるでしょう。
長い間の二人の努力が実らず病院に行ってみたら、
「両側の卵管が閉鎖していて体外受精をすすめられた……」
「顕微授精が必要なほど、重度の男性不妊だった……」
「体外受精に進んだけれども、年齢が高いためか良い胚ができずに、もっと早くスタートしていたら……と悔やまれる」
というようなこともあり得ることなのです。
どれほど高い治療費を払っても、残念ながら過ぎてしまった時間は巻き戻せません。
明日の妊活の一歩をどう踏み出すか、お二人でしっかり話し合ってみてください。
情報更新日:2021年12月9日