赤ちゃんという命の種が根付く大地のような存在です。
月経が始まると脳の下垂体から卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌され、卵巣内では排卵を目指して複数の卵胞の成長が開始することは、「卵の発育」のページでお話しましたね。卵胞が順調に成長していることを脳に知らせるフィードバックの役割を担っているのが、卵胞内の顆粒膜細胞などから分泌される卵胞ホルモン(エストロゲン)です。
実は、この卵胞ホルモン、脳という司令官に報告書をあげつつ、子宮部門に対して「卵巣部門では卵を育てているから、子宮部門では受精卵を受け止める子宮内膜を育ててください」という指示を送っているのです。卵胞の成長にともなって増加する卵胞ホルモンによって、子宮内膜は日に日に厚くなっていきます。
卵胞ホルモンの値が一定の値に到達することで卵胞の成熟を知った下垂体から、卵の最終成熟と排卵を促す黄体化ホルモン(LH)の大放出が起こります。卵胞が卵子を排出し、黄体に変わると、フィードバック役の黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されるようになります。
黄体ホルモンもまた、脳に報告しながら子宮部門に対して「卵巣部門では卵子を排出しました。もしも首尾よく受精したら、約1週間後には子宮に胚が運ばれてきますので、子宮部門では内膜を着床しやすい性質に変えてください。それから、その内膜が剥がれ落ちないように維持してください」というような指示を送り、着床を促し、流産を防ぐ役割を担っているのです。
この黄体ホルモンが出はじめると、女性の基礎体温は約0.3度上がり、高温期になります。黄体の寿命は通常14日ですので、胚が着床しなかった場合には、高温期が約2週間続いた後、黄体ホルモンが分泌されなくなり、子宮内膜が維持できなくなって剥がれ月経が起こるのです。
情報更新日:2021年12月9日