赤ちゃんを望んでいる、すべてのみなさまに知っておいていただきたい、小さな命が母親の胎内に宿るまでの奇蹟のストーリーです。
妊娠が成立するまでには、たくさんの関門があります。ここにあげたすべてのプロセスを滞りなくやりとげて、はじめて命の芽が母なる大地に芽吹くことができるのです。
1. 卵の発育
月経がはじまると、卵巣内に眠っている原始卵胞(卵子を包む袋)のうちのいくつかが排卵に向けて成長を開始します。排卵指令となるホルモンが下垂体から大放出されると、成熟した卵子1個が腹腔内に放出され、卵管の先端の卵管采によってからみとられて卵管内に入ります。
2. 精子の旅
夫婦生活を持つことで、腟内に射出された精子は、子宮頸管から子宮内に侵入し、卵管を抜けて卵子との待ち合わせである卵管膨大部(卵管先端近くの、もっとも管が太くなった部位)を目指して泳ぎあがっていきます。
3. 受精
卵子の受精能力が保たれているのは、排卵から半日、長くても1日程度。精子は、条件が良ければ女性の体内で数日は生きているといわれています。両者がタイミングよく巡り会い、精子1個が卵子内に潜り込んで核同士が融合すると受精成立となります。
4. 胚の分割
受精卵(胚)は、2細胞、4細胞、8細胞と分割しながら、細胞数を増やしていきます。卵管内には線毛と呼ばれる毛が生えており、一斉に同じ方向に動くことで受精卵を運んでいるといわれています。着床期を迎える胚盤胞になった頃に、ちょうど子宮内に到着します。
5. 子宮内膜
命の種が根を下ろす大地のような場所、それが子宮内膜です。卵胞から分泌されるホルモンは内膜を厚くし、黄体から分泌されるホルモンは受精卵が着床しやすいように内膜の状態を変え、はがれ落ちないように維持します。
6. 孵化と着床
ヒトの卵にも透明帯と呼ばれる殻(外膜)があるのをご存じですか? この殻を破いて孵化した内細胞塊(のちに赤ちゃんになる組織)が子宮内膜に接着。栄養外胚葉細胞(のちに胎盤になる絨毛と呼ばれる組織)とともに内膜へと潜り込み、着床します。
7. 妊娠とhCG
着床時期は排卵の約1週間後です。着床すると、のちのち胎盤になる絨毛と呼ばれる組織からhCGというホルモンが分泌されるようになります。日に日に濃度が上がり、月経予定日頃には尿中や血中からhCGが検出可能に。hCGが陽性のケースを、生化学的妊娠といいます。
8. 胎嚢と心拍確認
妊娠5週になり、超音波によって子宮内に胎嚢が確認されれば、臨床妊娠の成立です。妊娠6週に入り、心拍(赤ちゃんの心臓の動き)が確認されれば、流産率もぐっとさがって妊娠も確定的なものになります。
情報更新日:2021年12月9日