もしかして不妊なの!?
赤ちゃんを待ち続けて、どのくらいの時間が経たれていますか?
今月こそ! と期待しては、生理(月経)の再来に打ちのめされて……の繰り返しは、本当に心が疲弊しますよね。
「どうして私たちだけ!?」「健康には自信があるし、生理周期もきちんと28日だし、タイミングもあっているはずなのに…」とモヤモヤしつつ、次第に気になりはじめるのが『不妊症』という耳障りな一語ではないでしょうか。
『不妊症』とは、「妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで夫婦生活(性交)をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しない状態」をいいます。
『日本産科婦人科学会』では、この「一定期間」の部分について「1年が一般的」と定義しています。
赤ちゃんができないだけでも十分苦しいのに、バツ印のレッテルを貼られるようで不快に思われる方も少なくないと思います。
では、なぜわざわざこのような、頑張っている夫婦を傷つけかねない定義がなされているのでしょうか。
実は、統計的にみると妊娠可能な年齢の避妊していないご夫婦の場合、半年で6割、1年間で8割、2年間で9割のカップルが妊娠しています。
『不妊症』を定義することの目的は、ほとんどの方が妊娠される1年が経過しても赤ちゃんができていなければ、お二人には何かしら妊娠を妨げる原因がありそうだということを意識してもらい、早めに不妊検査を受けてみるよう促す目的があるのです。
原因がわかれば、ちょっとしたアシストで妊娠されるケースもあります。
赤ちゃんを望んで一年が経過したら、「どうする? 病院で検査受けてみる?」と、ご夫婦で相談するきっかけにしてみてください。
ただし、女性が、排卵していなかったり(基礎体温表が低温期と高温期の二相にわかれていない)、子宮内膜症(月経痛が重いなどの自覚症状がある場合が多い)をわずらっていたり、過去に骨盤内の炎症を経験していたりする場合には、妊娠しにくいことがわかっています。
これらに該当される方は、1年を待たずして、早めに検査を受け、必要な治療を開始されたほうがよい場合もあります。
また、男女とも加齢にともない妊娠率が低くなることがわかっています(とくに女性の年齢との関連が強い)。
そのため、治療を先送りすることで治療の成果が得にくくなることを考慮すれば、年齢が気になるご夫婦の場合も、早めに治療に踏み切ったほうがよい結果につながるケースが多いといえるでしょう。
夫婦の6組に1組が不妊に悩んでいる
ひと昔前は、夫婦の10組に1組が悩んでいるとされた不妊ですが、最近では6組に1組ともいわれるくらいまで増えてきています。
その情報を裏打ちしているのが、国立社会保障・人口問題研究所が行った第15回出生動向基本調査(2015年)です。
この調査によると妻の年齢が49歳までの夫婦のうち、不妊を心配したことがあると答えた夫婦は3割を超える35.0%に、実際に不妊治療や検査を受けたことがある(または現在受けている)夫婦は全体の18.2%にのぼりました。
つまり、5.5組に1組が不妊治療や検査を受けたことになります。
決して、お二人だけではありません。
日本において、不妊に悩む夫婦が増えている一因として、初婚年齢が上がってきていることも影響していそうです。
第15回出生動向基本調査(2015年)によると、平均初婚年齢は、夫30.7歳、妻29.1歳でした。
とりわけ女性側の上昇が目立ち、第9回調査(1987年)時の25.3歳からみると約30年で4歳も年齢が上がっています。
女性の初婚年齢が高くなることが、どのように不妊に影響してくるのかについては、次の章をお読みください。