検査では、どんなことをするの?
マスターベーションで専用の容器に直接採精してもらった精液を、約30分間放置して液化させてから精子計算盤に載せ、顕微鏡下で観察します(自動分析装置を用いている施設もあります)。
このところ「精液所見は、毎日射精の機会があるほうがよくなる」とする報告も多いことから、精液検査前の禁欲期間については、従来どおり4、5日間必要としているところから中1日で十分というところまで施設によって様々です。
自宅で採精したものを、奥さまに病院まで届けてもらうかたちでの検査も可能です。ただし、採精するときはコンドームを使用しない(殺精子剤が使われた製品もあります)、20度以下ならびに37度以上の環境は精子の運動率に悪影響を与えるので、採精後の容器はタオルでくるむか人肌に触れた状態で運搬する、などの注意が必要です。
精液の状態には、製造に要する約3カ月の間の体調やストレスなどの影響も出ますので、間隔をあけて何回か精液検査を受けてみるべきでしょう。
いつ受けたらいいの?
不妊治療をはじめる場合には、できるだけ早い段階で精液検査を受けしましょう。初診時に夫婦で受診し、その際に調べてもらおうという場合には、病院に予め禁欲期間を確認しておくことをおすすめします。
検査結果から、わかること
2010年に改訂されたWHO(世界保健機構)発表の精液所見の基準値(自然妊娠が十分可能とする値)は、以下の通りで、この値からはずれている場合は不妊原因になっていると考えます。
精子濃度(精液1mL中の精子数)が1500万個に満たない場合は乏精子症、精液中に精子がまったく見当たらない場合は無精子症、直線運動している精子が少ない場合は精子無力症、正常な形態の精子が少ない場合は奇形精子症と診断されます。男性不妊の場合、どの程度大きく基準値からはずれているかによって、最適な治療方法が変わります。
精液検査を数回受けて男性不妊との診断を受けた場合は、一度、泌尿器科での男性不妊検査を受けることをおすすめします。
■精液の状態の基準値(WHO 2010)
1回に射精される精液の量 | 1.5mL以上 |
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精子濃度(1ml中の精子の数) | 1500万個以上 |
精子の運動率 | 動いている精子が40%以上 |
正常な形態の精子が占める率 | 4%以上 |
生存している精子が占める率 | 75%以上 |
白血球数(炎症があると増加) | 1mLに100万個未満 |
情報更新日:2021年12月9日