どんな病態なの?
子宮は二つあるミューラー管が胎齢8~15週頃に融合してできますが、このときの形成がうまくいかないと先天性の子宮形態異常となります。様々なタイプの形態異常がありますが、とくに問題なく妊娠・出産されるケースも珍しくありません。
もっとも初期流産率が高い子宮形態異常は中隔子宮で、早産も起こりやすいとされています。中隔子宮を外側から見ると形態の異常はありませんが、内側から見ると一つの子宮内腔を隔てる薄い壁があります。この壁に胚が着床しようとすると十分な血流が行かず、着床障害で不妊や初期流産の原因になるものと考えられています。
また、子宮を外側から見るとハート型に見え、内側から見ると子宮頸管は一つですが、子宮の奥(卵管側)が二つに分かれている双角子宮は、初期の着床には問題が少ないと言われています。ただ、やはり成長していく過程で流産になりやすく、分娩時に胎児の胎位・胎勢に異常が起きやすいといわれています。
中隔子宮や双角子宮でも、すべてのケースが不妊や習慣流産になるわけではありませんので、形成手術が必要かどうかは、既往妊娠の経過をみて慎重に判断します。
子宮卵管造影では子宮内腔の様子はわかりますが、子宮の外側の形状がわかりませんので、超音波検査(特に3D超音波検査)やMRI(磁気共鳴画像装置)などを使って非侵襲的に診断します。中隔子宮と双角子宮は、よく似ているため見極めが難しいとされていますが、形成手術を行う場合は術式がまったく異なりますので、正確な診断をつけることには臨床上大きな意味があります。
妊娠するためには、どんな方法があるの?
中隔子宮は子宮鏡下手術で……
手術を受けることに決定したら、子宮鏡下手術で、内腔を隔てる壁を電気メスで取り除きます。術後、妊娠した場合には、経腟分娩も可能です。
双角子宮は腹腔鏡下手術で……
手術を受けることに決定したら、腹腔鏡(ラパロスコピー)で双角子宮であることを最終的に見極め、子宮内腔を一つにする形成手術を行います。術後の分娩は、帝王切開が安全です。
情報更新日:2021年12月9日