重症男性不妊にはクラインフェルター症候群が多くみられます
ヒトは、常染色体22組44本と性染色体2本(男性はY染色体1本、X染色体1本のXY。
女性はX染色体2本のXX)で合計46本の染色体を持っています。
核型(染色体)の表記は、最初に常染色体と性染色体の総本数を書き、男性46,XY、女性46,XXとなります。
ところが、男性不妊の方、とくに精路に閉塞が確認されていない重度乏精子症や無精子症の方には、性染色体の本数が異常になったり、常染色体に相互転座、ロバートソン転座、逆位といった異常が起こったり(精子形成に異常)するケースがみられる割合が高いため、血液を採取し、染色体分染法による染色体検査を行うことがあります(健康保険適用)。
とくに多いのが、X染色体の数が多い47,XXYや48,XXXYのクラインフェルター症候群です。
中には、正常なXYの染色体をもつ細胞と異常な染色体をもつ細胞が混在するモザイク型の方もおられます。
このような場合には、少ないながらも精巣内で精子がつくられ射出されるケースもありますが、非モザイク型の場合には非閉塞性無精子症(NOA)になります。
とはいえ、非モザイク型のクラインフェルター症候群の方に対して精巣内精子採取術(TESE/テセ)を行ったところ66%の方から精子が採れたとの報告もありますので、クラインフェルター症候群では精子回収率は低くないといえるかもしれません。
また外見上は男性ですが、核型(染色体)が女性の46,XXのXX male(男児9000人に1人)という方もおられ、このような場合はたいへん残念ですが精子を得る手段はありません。
染色体検査を受けるべきかどうかは、ご夫婦でよく話し合ってください。
また、染色体異常やY染色体の微小欠失が見つかった場合には、ARTに進む前に遺伝カウンセリングを受けましょう。
情報更新日:2021年12月9日