受精卵(胚)が着床しない
子宮内腔に育った子宮内膜に受精卵(胚)が潜り込むことを着床といいます。そのまま着床が継続して、胎児の入った袋(胎嚢)が子宮内に見えると臨床的には妊娠が成立したと考えます。
超音波検査で、子宮内腔に子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮腺筋症(子宮内膜症)などが見つかることがあります。これらの症状をかかえながら妊娠されている方はたくさんおられますので、子宮内腔を変形させるほどの大きさであったり、着床の妨げになりそうな場所にできていたり、QOL(生活のクオリティ)を著しく下げる痛みがあったりしない限りは、子宮筋腫や子宮内膜ポリープ、子宮腺筋症そのものの治療よりも妊娠のための治療を優先させます。あきらかに着床障害になっていると考えられるケースでは、外科手術や投薬治療を検討します。
子宮卵管造影検査や子宮鏡検査で、先天的な子宮形態異常、子宮腔癒着症が見つかった場合は、その形態によって外科手術を行うケースと、影響はないと判断してそのまま妊娠を目指すケースがあります。
また、基礎体温の低温相と高温相の温度差が0.3度未満、高温期が10日未満の場合には、黄体機能不全を疑います。高温相中期の着床期にホルモン検査を行い、黄体ホルモン(プロゲステロン)値が10ng/mL以下だった場合には、黄体機能不全と診断されます。
これらの子宮因子の不妊は不妊症の方の約15%(先天的な子宮形態異常約2%、子宮筋腫&子宮内膜ポリープ&子宮腔癒着症など約13%)、黄体機能不全は約10%にみられます。また、子宮内膜症にいたっては、一般女性では5~10%であるのに対して、不妊女性では20~40%に認められるといわれています。
情報更新日:2021年12月9日