hCGが検出されたものの、まだ子宮内には胎嚢が確認されていない状態。
母親の子宮内膜に胚(受精卵)が着床することで、妊娠はスタートします。
やがて胎盤となる絨毛(じゅうもう)と呼ばれる組織から、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)が分泌されます。hCGは、母親の卵巣内の黄体を刺激して長持ちさせ、子宮内膜の脱落を防ぎます。化学的構造がLH(黄体化ホルモン)に似ているため、選択的に黄体に働くのです。
まるで、「ボク(私)、ここにいるよ。だからママもがんばって!」と、赤ちゃんが自分の存在を知らせ、母親を励ましているようですね。しかも、赤ちゃんたちは決して母体の黄体に依存しっぱなしではなく、絨毛を立派な胎盤に変えることで、しっかりと物理的に母親の子宮内にしがみつくのです。
普段、女性の体にhCGは存在しません。ですから、月経予定日になっても出血がはじまらずに検査を受けた結果、血中や尿中からhCGが検出されれば、それは間違いなく胚が子宮内膜に着床していることを意味しているのです(ただし、不妊治療で高温期に黄体補充の目的でhCGの注射を受けている場合は、注射薬の影響が残っていて妊娠と誤認することがあるので気をつけてください)。この時点から、超音波検査で子宮内に胎嚢(たいのう/赤ちゃんの入った袋)が発見されるまでを、生化学的妊娠(化学的妊娠)と呼びます。
妊娠週数の数え方
受精卵が着床したあとの月経予定日は、妊娠4週0日にあたります。排卵があった周期を妊娠1カ月目と考えますので、月経が遅れているなと気がついたときには、すでに妊娠2カ月目に入っているのです。
月経周期が規則的な28日型の方であれば、通常、最終月経の初日が0週0日、排卵日が2週0日頃となります。子宮内膜に受精卵が潜り込むのは妊娠3週に入る頃ですので、それまでは母体と赤ちゃんの間に直接的なつながりはありません。つまり、妊娠1カ月目とされる期間中、実際の妊娠期間は1週間程度しかないのです。
情報更新日:2021年12月9日