精巣の外傷や炎症の経験があると高率で陽性に
精子を異物として攻撃する抗精子抗体は、男女どちらにでもつくられることがあり、不妊男性の約6%が持っているとされています。
避妊のためのパイプカットや精巣の外傷や炎症を経験していると、高頻度で陽性になります。
精巣内、血中、精漿中に抗精子抗体の一種である精子不動化抗体が認められると、精子の運動率はいちじるしく落ちますので、精液所見は精子無力症となります。
また、精液所見上は不良に見えなくとも、精子不動化抗体以外の抗精子抗体によって受精障害を起こしていることもあります。
男性の場合は、射出精液を用いて直接、精子に結合している抗精子抗体を検出するイムノビーズテストを行います。
20%以上の精子にイムノビーズが付着している場合は、陽性と判定します。
80%以上の精子に抗精子抗体が結合している場合には受精障害を起こしやすいとされていますので、ヒトの卵の透明帯に結合できる能力、すなわち受精能を調べるhemizona assay(HZA)をすすめられることもあるでしょう。
フーナーテスト(PCT/ヒューナーテスト)の結果が良好で、HZAも問題がなく、奥さまの年齢も余裕があり、ほかに不妊原因がない場合には、仮にイムノビーズテストが陽性でも、タイミング指導からのスタートが可能です。
加えてフーナーテストも常に不良ならば人工授精(AIH)、さらにHZAで受精障害が見つかった場合には顕微授精(ICSI/イクシー)の適応になるでしょう。
情報更新日:2021年12月9日