精巣内から精子が採れるか、術前に妊娠の可能性を探ることができます
無精子症や重度乏精子症の場合、精巣精子採取術(TESE/テセ)前に精子を回収できる可能性を探るためのY染色体の遺伝子(Azoospermia factor/AZF)検査をすすめられることがあるでしょう。
血液検査で調べることができますが、健康保険適用外になります。
Y染色体のAZF領域の微小欠失は、男性不妊の5~10%にみられますが、欠失している領域が不妊治療の運命を大きくわけます。
AZFc領域だけの欠失の場合には、無精子症であってもTESEによって精巣内から精子が回収できるケースが多いとされています。
ただし、この父親から不妊治療によって男児が産まれた場合には、男性不妊の重症度こそわかりませんがY染色体の微小欠失はほぼ100%遺伝します。
また、AZFa領域が欠失するとセルトリ細胞単独症となり、AZFb領域が欠失すると成熟停止となります。
AZFa領域の欠失が見つかった場合は、残念ながら精巣内からも精子を回収できる期待は持てないでしょう。
AZFb領域の欠失の場合は、限りなく厳しい状況であることをご理解いただいたうえで、ご希望があった場合のみTESEへのチャレンジとなるでしょう。
また、施設によってDAZ領域(AZFc領域の一部)の欠失を調べる場合もあります。
情報更新日:2021年12月9日