分割期胚(4細胞期胚、8細胞期胚)のグレード
形態から胚にグレードをつけ、胚移植の優先順位を検討します。
見た目のきれいな良好胚は、染色体異常率も低く、着床率も高い傾向にあります。
施設ごとに判定基準は異なりますが、ここでは、その基礎になっていると思われるVeeck(ビーク)の分類を紹介しておきましょう。
分割期胚の5段階分類
- Grade1:割球の大きさが均一で、フラグメンテーション(※)がないもの
- Grade2:割球の大きさは均一だが、わずかにフラグメンテーションがあるもの
- Grade3:割球の大きさが不均一だが、フラグメンテーションがないもの
- Grade4:割球の大きさは均一あるいは不均一だが、かなりのフラグメンテーションがあるもの
- Grade5:割球がほとんど認められず、著しいフラグメンテーションがあるもの
※フラグメンテーション:胚の中にある割球とは異なるブツブツした部分、細胞破片
(Veeck LL/Atlas of Human Oocyte and Early Conceptus.
Vol.2 Williams & Wilkins,Baltimore,1991より)
また分割に勢いがあるものが良いとされ、培養2日目には4細胞期胚に、培養3日目には8細胞期胚になっていることも、良好胚の重要な条件とされています。
さらに最近では、それぞれの割球の核が単一でフラグメンテーションの少ない胚を選ぶのが良いともいわれています。
胚盤胞のグレード
胚盤胞においても、グレードは形態から判定します。
Gardner(ガードナー)の分類を採用していて、「4AA」のように表記する施設が多いと思います。
最初の数字は胚盤胞のステージ(胚盤胞の特徴である空洞=胞胚腔の広がりの程度)を意味し、数字が大きいものほど成長速度が速い、すなわち良好であることを表しています。
胚盤胞のステージ
- Grade 1:胚盤胞の特徴である空洞・胞胚腔が胚全体の50%以下の初期胚盤胞
- Grade 2:胞胚腔が胚全体の50%以上を占める初期胚盤胞
- Grade 3:胞胚腔が胚全体に広がった完全胚盤胞
- Grade 4:胞胚腔が拡大し透明帯が薄くなった拡張期胚盤胞
- Grade 5:透明帯から栄養外胚葉の一部が抜けかかった胚盤胞
- Grade 6:透明帯から完全に抜け出た脱出胚盤胞
(Gardner, DK., Scoolcraft, WB., Jansen, R,et. al(eds):Towards reproductive certainty ;infertility and genetics beyond. In vitro culture of 16 human blastocysts;pp378-388,Canforth,Parthenon Press,1999.)
2番目のアルファベットは内細胞塊(ICM)といい赤ちゃんになる部分の細胞の状態を、3番目のアルファベットは栄養外胚葉(TE)といい絨毛(胎盤)になる部分の細胞の状態を、それぞれ評価しています。
いずれも細胞数が多い密なものが良いとされ、最良のものをA、次いでB、Cの順で表します。
情報更新日:2021年12月9日