体外受精・顕微授精の流れ

体外受精・顕微授精 ~治療の流れ~

体外受精(IVF-ET)、顕微授精(ICSI)を行う場合には、通常、次のような流れで行います。

「5. 卵子と精子を混ぜます(媒精)」の行程は、体外受精特有の行程となります。

「6、優良な精子の選別」と「7、細胞質内精子注入法(ICSI)で精子を卵子に注入」の行程は、顕微授精特有の行程となります。

1. 前周期の処置

低用量ピルを服用し、次周期の卵育てにベストの環境を整えることもあります。

2. 卵育て(卵巣刺激)

採卵周期の月経3日目より、排卵誘発剤による卵巣刺激をスタートします。

3. 卵子を体外に取り出す採卵(OPU)

卵子の最終成熟を促すhCGを注射し、卵胞液ごと奥さまの卵子を注射針で吸引して体外に採り出します。

4. 精子の採取(採精)と洗浄濃縮処理

ご主人さまにマスターベーションで専用容器に精液を採取してもらい、洗浄・濃縮処理を行います。

5. 卵子と精子を混ぜます(媒精)(体外受精のみ)

体外で、奥さまの卵子とご主人さまの精子を混ぜて、自然な受精を期待します。

6. 優良な精子1個を選ぶ(顕微授精のみ)

運動能力や形態などをもとに、優良な精子1個を胚培養士が各施設の基準で選別します。

7. ICSIで精子1個を卵子内に注入(顕微授精のみ)

奥さまの卵子の細胞質内にご主人さまの精子1個を注入し、受精を期待します。

8. 採卵翌日の受精確認

採卵翌日に、卵子由来の前核と精子由来の前核が見られれば、受精成立と判断します。

9. 体外での培養と受精卵の分割

受精卵を培養。

採卵2、3日目には4~8細胞(初期胚)、採卵5日目には胚盤胞にまで分割します。

10. グレードの良い受精卵(胚)の選別

胚の分割スピードと形状から胚にグレードをつけ、より着床率が高いと思われる良好胚を選びます。

11. 胚の凍結保存

奥さまの子宮内に戻す胚を選び、残った胚を凍結保存します。

子宮内に胚をすぐに移植せずに、すべて凍結保存することもあります。

12. 着床を助ける孵化補助(AH/アシステッドハッチング)

移植前に卵の殻(透明帯)を薄くしたり、破いたりして胚の脱出(ハッチング)を助けることもあります。

13. 胚を子宮内に戻す胚移植(ET)

  • 新鮮胚移植… 初期胚もしくは胚盤胞を、採卵をした周期に奥さまの子宮内に戻し、着床を期待します
  • 凍結融解胚移植… 採卵周期以外の周期に理想的な子宮内膜環境を整えて、凍結融解した胚を戻します。

    ※日本産科婦人科学会は、多胎妊娠を避けるため1周期に子宮内に戻すことができる胚の数を「原則として単一」とし、「35歳以上の女性、または2回以上続けて妊娠不成立であった女性などについては、2胚移植を許容する」と定めています。

14. 妊娠を後押しする黄体補充

黄体ホルモン剤(内服薬、注射薬、腟坐薬)を使い黄体ホルモンの作用を高めることで、着床を促し流産を防ぎます。

15. 妊娠判定とhCG

着床は採卵の約1週間後。

月経予定日頃には、胎盤になる組織から分泌されるhCGで妊娠判定可能になります。

16. 妊娠の成立

妊娠5週に子宮内に胎嚢が確認されれば臨床的妊娠。

妊娠6週に胎芽の心拍が確認されれば妊娠成立となります。

情報更新日:2021年12月9日


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