「もしかして不妊…!?」とお悩みの方も、
病院の基本的不妊検査で気になる問題が見つかった方も、
ぜひ意識して欲しいのは、原因が夫婦のどちらに見つかろうとも、
不妊は夫婦の前に立ちふさがった壁だということ。
抱えるのも二人、乗り越えるのも二人、
決してどちらかが負い目を感じるような問題ではないのです。
不妊症カップルの3~4割に、男性不妊が見つかります。
以前は、不妊といえば、一方的に女性側の問題としてとらえられていましたが、実際には男性側が妊娠を妨げる問題を抱えているケースも多く見受けられます。不妊に悩むカップルのうち、男性にも不妊の要因があるケースは30~40%を占めていて、おもな不妊原因となっています。不妊検査を受ける場合には、精液検査を後回しにせず、できるだけ早いうちに受けましょう。
女性が抱える不妊原因は、(1)排卵の問題、(2)卵管の問題、(3)子宮の問題、(4)そのほか(免疫性不妊や子宮内膜症など)の4つに分けることができます。さらに、女性は加齢により卵子の質が低下してしまうため、高齢というだけで、医療でのフォローが難しい不妊原因を抱えることになります。妊娠には、卵子の質によって決定されるリミットがあることをきちんと理解したうえで、自然にまかせるのか、検査や治療を受けるのか、どのように治療段階のステップをあがっていくのかを決めていきましょう。
約10%は原因不明不妊ですが、原因がないのではなく見つからないだけ。
基本的不妊検査で原因が見つからない場合を機能性不妊(原因不明不妊)といい、不妊症カップルの10~15%が、これに該当します。腹腔鏡検査を行った場合は、その割合は10%以下まで低下します。
一般的に、避妊していないカップルの1周期あたりの自然妊娠率が約20%といわれるのに対し、無治療の機能性不妊のカップルの自然妊娠率は3%程度とされています。不妊原因がないのではなく、基本的不妊検査では見つけられないところに、何かしら妊娠を妨げる問題(受精障害、黄体化非破裂卵胞、ピックアップ障害など)があるととらえましょう。
不妊治療は、不妊原因を根本から治す治療ではなく、問題を乗り越える道具
検査で見つかる不妊原因は、根本的な治療が難しいものが多く、逆に妊娠さえ望んでさえいなければ無治療で放置したとしても、健康を脅かす要因になるものは少ないのです。例えば、卵管が両側とも閉鎖しているという状況は、妊娠には非常に不利であっても、このことが暮らしの質を下げたり、寿命を縮めたりするものではありません。そのため不妊治療では、夫婦が抱える問題を正常に治すのではなく、治療中の周期だけ足りないものを補ったり、代替したり、過ぎたものを抑えたりして、妊娠しやすい状況に導きます。不妊治療は、二人の妊娠を妨げる問題を乗り越えるための道具なのです。医療の介入度によって3段階ある治療の、それぞれのイメージは、もっとも自然な妊娠に近いタイミング指導が踏み台、次の人工授精(AIH)がはしご、高度な生殖医療技術を用いる体外受精や顕微授精などのARTが消防自動車並みのはしごといったところでしょうか。
情報更新日:2021年12月9日