全国で体外受精後に新鮮胚移植を試みた100人中約17人が赤ちゃんを抱いています
2019年に全国で行われた体外受精の成績報告では、顕微授精を行わない通常のIVF-ETは82,908周期あり、81,293件(治療をスタートしたケースの98.1%)で採卵が行われ、16,871件(治療をスタートしたケースの20.3%)で新鮮胚移植が行われました。新鮮胚移植を行ったケースうち、妊娠にいたったのは3,900件ですので、移植周期あたりの妊娠率は23.1%になります。さらに、出産にいたったのは2,821件ですので、移植周期あたりの生産率は16.7%になります。
全国で凍結融解胚移植を試みた100人中約25人が赤ちゃんを抱いています
体外受精治療開始した周期に新鮮胚移植にいたる割合をと比べてみると、2005年は68.5%でしたので、近年かなり低くなっていることがわかります。このことは、顕微授精で得られたすべての胚を凍結保存して、採卵した周期ではなく、子宮内膜が自然な状態の周期をねらって、凍結融解胚移植を行うという作戦を選択している施設が急増していることの現れでしょう。2019年の全胚凍結周期数は、38,403件でした(治療をスタートしたケースの46.3%)。
凍結融解胚子宮内移植の治療成績は、通常の体外受精か顕微授精かの区別なく統計処理されているためICSI後の凍結融解胚移植の成績は不明です。しかし凍結融解胚子宮内移植は2019年には213,882件(周期)で試みられ、210,656件(治療をスタートしたケースの97.2%)で胚移植が行われました。妊娠にいたったのは74,595件ですので、胚移植周期あたりの妊娠率は35.4%と、新鮮胚移植に比べ12%以上も高い妊娠率を示しています。さらに出産にいたったのは52,513件ですので、胚移植周期あたりの生産率は24.9%になります。
つまり、凍結保存していた胚を融解して子宮内胚移植を試みた100件中およそ25件は、赤ちゃんを抱くことができたということを意味しているのです。このことからも、凍結融解胚子宮内移植の有効性がうかがい知れますね。
日本産科婦人科学会 令和2年度倫理委員会 登録・調査小委員会報告
(2019年分の体外受精・胚移植等の臨床実施成績および2021年7月における登録施設名)
http://fa.kyorin.co.jp/jsog/readPDF.php?file=73/9/073091089.pdf