タイミング指導

排卵があり卵管が通っていて期待できそうな精子たちならば

一通り、基本的不妊検査を受けた結果、排卵があって、子宮や膣が存在し、卵管が少なくとも片側は通っており、精液所見に問題のない二人であれば、タイミング指導から治療をスタートすることができます。

タイミング指導とは、超音波検査による卵胞の直径の計測や尿中LH検査などを行うことで、排卵日をより正確に予測し、夫婦生活を持つのに最適なタイミングを医師がアドバイスするもので、もっとも自然な妊娠に近く、お二人にとって負担の少ない不妊治療の方法です。

タイミング指導は、こんな二人におすすめします(適応)

ステップアップ治療の一段階目タイミング指導などの一般不妊治療で妊娠をねらうためには、次の4つの条件をクリアしていなければなりません。

タイミング指導のチャレンジ条件

  1. まずは排卵があること(投薬治療で排卵すればOK)
  2. 子宮や腟があること
  3. 卵管の通過性が少なくとも片側は保たれていること
  4. そして射出された精液の中に元気な精子が十分な数いること
    精液所見の基準値は施設によって異なりますが、WHO(世界保険機関)が定める正常精液所見の基準(2010年改訂)によれば、精子濃度は精液1mL中に1500万個以上、精子の運動率は前進運動精子50%以上、または高速直進運動精子25%以上。

この4点に問題がなく、妊娠を非常に急がなければいけない事情(妊娠のリミットが近い、長期にわたる不妊期間などの問題)がなければ、もっともお二人にとって負担の少ないタイミング療法からスタートすることができます。

なお、欧米には不妊治療未体験でも基本的不妊検査の結果が原因不明不妊(機能性不妊)の場合、夫婦でのチャレンジが3年以上になる長期間の不妊の場合は、ただちにARTに進むのが望ましいとする考え方もあります(奥さまが36歳以上の場合には、もっと短い不妊期間で検討)。

タイミング指導の流れ

タイミング指導を行う場合には、通常、次のような流れで行います。

1. 過去の基礎体温表から、おおよその排卵時期を予測

過去の基礎体温のグラフから、低温期最終日から基礎体温上昇期の数日を排卵日と仮定。

おおよその排卵時期を予測します。

黄体の寿命は約14日ですので、月経周期が規則的で28日型の方であれば、月経周期14日目が排卵日になります。

2. 卵胞の成長を超音波検査でチェックし、より正確に排卵日を予測

排卵時期が近づいてきたら、経腟超音波検査で卵胞の直径を計って成長の度合いをチェックします。

自然周期の場合には、卵胞の直径が12mm程度になってからは、1日あたり約2mmのペースで成長し、約20mmを超えたところで排卵が起こるとされています。

3.排卵期特有の頸管粘液の分泌が増えてきたら、その日にも夫婦生活を持っておく

普段は、子宮内に細菌が侵入するのをブロックするため乾き気味の子宮頸管ですが、排卵が近づくと、この時期特有の透明でよく伸びるおりものを分泌します。

このおりものが自覚できた日は、精子が子宮内に侵入しやすいので、夫婦生活を持っておくといいでしょう。

4.卵胞径が20mmに近づいたら夫婦生活を持つよう医師がアドバイス

卵子が受精できるのは、排卵から12時間後せいぜい1日後までといわれていますが、精子は女性の体内であれば数日は生存しています。

つまり、精子を先に送り込み卵子を待たせるのが得策なのです。

通常、卵胞径20mm直前(排卵直前)で夫婦生活を持つよう指示があります。

5.翌日、超音波検査による排卵確認とフーナーテスト

夫婦生活を持った翌日に病院へ行き、タイミングがあっていたかどうかの検証のため、超音波検査による排卵確認を行います。

また、子宮頸管のおりものをスポイトで採取し、元気な精子が十分侵入しているかどうかのフーナーテスト(性交後試験)を受けます。

6.妊娠判定とhCG

着床は排卵の約1週間後。

月経予定日頃には、胎盤になる組織から分泌されるhCGで妊娠判定が可能になります。

7.妊娠の成立

妊娠5週に子宮内に胎嚢が確認されれば臨床妊娠。

妊娠6週に心拍が確認されれば妊娠成立となります。

タイミング指導の妊娠率

一般的には、排卵日付近で夫婦生活の機会を持てば約20%の確率で妊娠するといわれています。

そして、このペースで妊娠が成立していった場合、1年後には約90%の夫婦が妊娠する計算になるのですが、すべてのカップルが排卵日を意識して夫婦生活を持っているわけではありませんよね。

ですから実際には、もう少し低い割合となり、避妊していない夫婦の場合、1年で約80%が妊娠に至ります。

ほとんどの夫婦が妊娠する中、そうではない約20%の夫婦には、やはり何かしら赤ちゃんができにくい理由があると考えたほうがいいでしょう。

「基礎不妊検査を受けてみたほうがいいかも知れませんね」、とおすすめする意味で「不妊症=避妊をせずに1年間夫婦生活を持ったにもかかわらず、妊娠していない状態」という定義があるのです。

さらに、もう1年間チャレンジが続いても、妊娠に至るカップルは2年間で約90%と約10%しか伸びません。

そして、基本的不妊検査で原因が見つからず機能性不妊(原因不明不妊)と診断されたカップルの場合、何の治療をしなくとも、その約60%が3年以内に自然妊娠するとの報告もありますが、無治療のまま経過をみた場合の1周期あたりの自然妊娠率は、わずか3%との報告もあります。

奥さまの年齢や不妊期間を考慮されたうえで、一般不妊治療を試すか、体外受精などのARTを受けるか、自分たちだけで様子をみるかを判断しましょう。

タイミング指導の有効回数

タイミング指導でのチャレンジは、治療効果が期待できるとされる6回~12回(半年~1年)までにとどめ、「二人の不妊原因は、この治療方法で乗り越えられる問題なのか」、徹底検査するつもりで受けてみることをおすすめします。

それでも結果が出なかった場合、妊娠率が厳しいことを承知のうえでタイミング指導を継続するか、この治療では乗り越えられない隠れた不妊原因があると考えて人工授精(AIH)にステップアップするかは、お二人の価値観が大きくかかわってきます。

ご夫婦と担当医とで、よく相談して決めましょう。

情報更新日:2021年12月9日


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