流産の種類と管理

流産・切迫流産の種類

切迫流産

腹部に軽い痛みがあり、子宮からのわずかな出血はありますが、子宮頸管は開いていない状態です。

妊娠初期の性器出血を意味していますので、胎児の生死には関係がありません。

胎児が生存している場合の出血の多くは、胎嚢の一部が子宮壁からはがれたために生じた絨毛膜下血腫からの出血です。

進行流産

下腹部に強い痛みがあり、子宮からの出血量も多く、子宮頸管が開いていて、まさに流産が進行している状態の場合には、妊娠の継続は難しいと判断されます。

子宮内の内容物が、すべて娩出(べんしゅつ)されてしまって、痛みも消え出血も止まっているケースを完全流産といい、痛みや出血が続いていて、子宮内に残存物があるケースを不全流産といいます。

完全流産の場合は、特別な処置はいらないケースが多いでしょう。

稽留流産

妊婦に自覚症状がないまま、子宮内で胎児が亡くなっている状態のため、超音波検査で発見されます。

確定診断がつくまで経過観察です。

流産・切迫流産の管理

保存的治療

切迫流産の場合には安静をすすめられます。

流産のリスク因子にありますように、妊娠12週以前の流産は胎児の偶発的な染色体異常ですので、安静で流産を防ぐことは困難です。

しかし、切迫流産の場合には胎児が生存していることも多いため、絨毛膜下血腫が吸収されるまでは安静をとることが望まれます。

妊娠16週以降であれば、ウテメリンなどの塩酸リトドリン製剤(子宮収縮抑制剤)を投与します。

子宮内容物除去術(外科的処置)

不全流産や稽留流産で、子宮内に胎児や組織の一部が残っている場合に実施します。

通常、全身麻酔をかけますが、不全流産で残留物が少ない場合は、無麻酔での処置が行われることもあります。

内容物を鉗子で掻爬(そうは)するか、吸引して取り除きますので、器具が挿入できるよう、子宮頸管が開いていない稽留流産の場合には、予めラミナリア(水分を含むと膨らみます。

そのほかダイラパン、ラミセルなども、このタイプ)やラミナス(薬剤で頸管を柔らかくします)を頸管に入れて開く処置が必要になります。

子宮頸管が硬く閉じている場合には、前日から入院し、ゆっくりと時間をかけて開く処置を行うこともあります。

術後1週間くらいあけて、内容物が完全に取り切れたことを超音波検査で確認します。

次回の月経が発来することで、流産が完了したことを確定します。

週数が進んでいる場合には誘導分娩を行います

妊娠週数が進み、赤ちゃんが大きくなってから子宮内で亡くなってしまった場合(稽留流産)には、プレグラディン腟錠(プロスタグランジン製剤/陣痛促進剤)を用いて誘導分娩を行います。

子宮頸管が開いていない場合には、ラミナリアなどを挿入して十分に開いてから、薬剤で人工的に陣痛を起こして赤ちゃんと胎盤を外に出します。

残留物がある場合には、麻酔をかけて掻爬したり吸引したりして完全に取り除きます。

術後は、数日間の入院が必要。

子宮頸管を開くための処置に、数日かけることもあります。

術後1週間は安静にし、内容物が完全に取り切れたことを超音波検査で確認します。

次回の月経が発来することで、流産が完了したことを確定します。

特別な処置を行わないこともあります

内容物が自然に娩出された完全流産の場合には、特別な処置を行わず、経過のみ観察する場合もあります。

また、外科的な処置を行わずに、自然な流産で娩出されるのを待つケースでは、感染症や大出血が起こる可能性もありますので、医師からきちんと説明を受けておきましょう。

情報更新日:2021年12月9日


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